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つながる安心を、白浜町から

事務局M.O

観光地の日常を支える、もうひとつのインフラの話

画像提供:白浜町

白い砂浜、あたたかい温泉、そしてアドベンチャーワールドで長年親しまれてきたパンダたち。パンダ返還のニュースをきっかけに、改めて和歌山県 白浜町という場所に目を向けた人も多いのではないでしょうか。

国内外から年間およそ300万人が訪れるこの町では、旅先で情報を調べたり、誰かと連絡を取ったりといった「通信環境」も旅の心地よさを左右する大切な要素になっています。

けれど白浜町が見据えているのは、観光の今だけではありません。
その先にある“もしも”の時も含めた、町の安心です。

観光地の白浜町だからこそ、という判断

白浜町では、地域分散ネットワーク「NerveNet(ナーブネット)」を導入しています。

「NerveNet(ナーブネット)」とは、無線でつながった基地局同士が網の目(メッシュ)状に支え合うネットワークのこと。キャリア回線が繋がらない状況になっても衛星回線を活用しWi-Fi環境を提供します。誰でも無料で利用可能で、平常時も災害時も使えるネットワークです。

導入の背景について、白浜町東京事務所 所長 鎌谷さんはこう語ります。

「白浜町は観光地であると同時に、災害リスクとも向き合っていく必要がある町です。人が多く集まる場所だからこそ、通信が止まらない仕組みが白浜町には合っていると感じました」

白浜町東京事務所 鎌谷さん

その背景には、白浜町のもうひとつの挑戦がありました。
平成16年前後、企業の保養所が次々と閉鎖され空き施設が増えていった時期です。白浜町はそれらをリノベーションし、IT企業の誘致に取り組み始めました。

「観光業だけでは若い世代は戻ってこない。働く場所をつくらなければ、若者の流出は止まらないと考えました」(鎌谷さん)

企業誘致を進めている中でNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)がNerveNet(ナーブネット)の実証実験場所を探していました。通信インフラの整備は、サテライトオフィスにとって重要な条件です。
“何かあったときに社員の安否確認ができるかどうか”。
それは、立地選択の大きな判断材料になります。

白浜町はこの動きを、単なる通信実験ではなく、町の将来像と重なる挑戦として受け止めました。

現在では16社が進出。
Salesforceをはじめとする様々な企業が白浜町に拠点を構えています。

観光客、地域住民、事業者――。立場の異なる人たちが同じ空間で過ごす白浜町にとって、通信インフラは特定の誰かのためではなく「みんなのための基盤」であることが重要でした。

いつも通り、が続くこと

白浜町では平常時、「NerveNet(ナーブネット)」をフリーWi-Fi「Shirahama-Beach-Wi-Fi」として開放しています。

「観光客の方にとっても地域の人にとっても、特別な操作をしなくても自然につながる。それが一番の価値だと思っています」(鎌谷さん)

Wi-Fiにアクセスする際、Welcomeページで入力するのはメールアドレスと出身地程度。時間制限もありません。ワーケーションで訪れるフリーランスやノマドワーカーにとって、安定した通信環境は仕事の前提条件です。

「ワーケーションの広がりを支える一助になっていると感じています」(鎌谷さん)

普段から使われているということ。
それ自体が、災害時の備えにもなっています。

観光地にとっての通信インフラ

観光地では情報を調べ、写真を共有し、移動手段を確認する・・・
通信が必要な場面は、旅のあらゆる瞬間にあります。

「通信環境が整っているかどうかは言葉にされにくいですが、滞在の満足度に確実に影響していると感じます。白浜に来て不便を感じさせないことも、町の大事な役割だと思っています」(鎌谷さん)

観光客は行き先を検索し、口コミを確認し、写真を共有します。
通信環境は、体験の裏側に静かに溶け込んでいます。

見えにくいけれど、確かに体験の質を支えている。それが通信インフラです。

“もしも”のときにも、つながる

南海トラフ巨大地震などの大規模災害も想定される中で、こうした事態に備え、通信が使えなくなる状況への対応は白浜町にとって重要なテーマのひとつです。

「災害時に『つながっている』という安心感は、初動の判断や行動に大きく影響します。通信が確保されていること自体が、町を支える力になると考えています」(鎌谷さん)

被災時には、情報を発信することも受け取ることも欠かせません。
行政の通信インフラが機能しなければ、復旧・復興の妨げになります。

NerveNet(ナーブネット)は、外部回線に障害が生じた場合でも、地域内や衛星回線を通じて通信を確保できる設計です。

その仕組みがあるという事実が、“もしも”のときの安心感につながっています。
「誰ひとり取り残さない」という町長の言葉も、こうした備えの積み重ねから生まれています。

インフラの未来は、静かにそこにある

インフラは、普段の暮らしの中で意識しなくても使えていることがほとんどです。
通信もまた、当たり前のように使われています。
けれどその当たり前は、見えないところでの工夫や準備に支えられています。

だからこそ、ときどき立ち止まってみる。
旅先でも、暮らしの中でも、「当たり前につながっている」その背景に目を向けてみる。そんな視点があってもいいのかもしれません。

「これからも通信は、あって当たり前の存在であり続けてほしいですね」(鎌谷さん)

通信は特別なものではなく、たとえば道路や上下水道と同じように、自然に整備されている存在であってほしい。

フラ~っと訪れて、フラ~っとつながる。
その裏側で、未来の安心がきちんと動いている。

白浜町は、そんなインフラのかたちを、少し先取りしています。

画像提供:白浜町
INFORMATION

和歌山県 白浜町

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